代表挨拶
サンエス株式会社の40年は、原子力と共に歩んだ40年であります。
創業の昭和56年当時、稼働していた原子力発電所はPWR11基、BWR10基でした。1970年代の第一次石油ショック、第二次石油ショックにより高度経済成⾧を続けて来た日本経済は大きな危機に襲われ輸入原油に頼るエネルギー政策から、原子力を中心としたエネルギー政策への大転換が図られ、サンエス創業の年から16年間で28基の原子力発電所が建設・運転されるようになりました。当社のような原子力企業とすれば右肩上がりの良き時代であったとも言えると思います。
21世紀に入り原子力を輸出する国策が発表され、「原子力ルネッサンス」とも呼ばれるようになりました。当社もUAEから受注がほぼ確定していた4基の原子力発電所建設及びメンテナンスを行う将来の海外人材の採用を検討し、原子炉メーカー担当者と具体的な準備を進めていました。また、イギリスの原子力発電所建設の準備作業に当社の社員も参画するなど、海外への進出を視野に入れていました。
しかし3.11東日本大震災での東京電力(株)福島第一原子力発電所(1F)の事故により原子力発電所建設の安全対策費が高騰し、採算が合わないとして日本企業は撤退を余儀なくされるとともに、ベトナム・トルコ・インド等全ての海外案件が白紙になってしまいました。3.11の1F事故により「原子力ルネッサンス」は消滅してしまいました。
最近では地球温暖化が世界的な問題となり、「脱炭素社会(カーボンニュートラル)」実現が現実的なテーマとして浮上して来ました。日本政府も地球温暖化ガスを2030年までに46%削減、2050年までにはカーボンニュートラル実現を公約として発表しました。これにより再生エネルギーとともに原子力が一定の重要な役割が期待されることとなり、今後の展開が楽しみとなってきています。
原子力発電所の建設・運転・廃炉は100年におよびます。その間科学技術の発展に支えられながら安全運転及び管理をしていく必要があります。
当社もこれからを見据えて「存在価値」のある会社、信頼される会社として、次世代に引き継いで発展していきたいと思っております。